Instagramで企業から初めて報酬をもらえた。うれしい反面、「これって確定申告が必要なの?」「会社にばれたりしない?」「商品をもらっただけの案件はどうなるの?」と、税金のことが急に気になり始めた。そんな方は多いのではないでしょうか。
インスタ案件の報酬は、金額が小さいうちは「申告しなくていいもの」と思われがちです。ところが、会社員の「20万円ルール」には条件があり、所得税の申告がいらない場合でも、住民税の申告は別に必要になります。商品の提供を受けただけの案件も、収入として考える必要があります。
この記事では、インスタ案件やSNSの副業で収入を得たときの確定申告について、申告が必要になる条件、雑所得と事業所得の違い、商品提供の扱い、経費にできるもの、記録の残し方とインボイスの考え方までを、国税庁の案内をもとに整理します。
報酬の決め方は、noteの記事で紹介しています。この記事では、報酬を受け取ったあとの税金の手続きに絞って、一歩踏み込んで解説します。なお、税金の扱いは一人ひとりの状況によって変わるため、最終的な判断は税務署や税理士に確認してください。
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インスタ案件の収入と確定申告の基本
まずは、インスタ案件の収入がどんな所得になるのか、どんなときに確定申告が必要になるのかを確認しましょう。会社員と、会社に勤めていない人とでは、考え方が少し違います。
インスタ案件の収入は「雑所得」か「事業所得」
国税庁のタックスアンサー No.1500 雑所得では、原稿料など副業に係る所得は雑所得にあたる例として挙げられ、副業の収入のうち営利を目的とした継続的なものは「業務に係る雑所得」とされています。会社員が副業として受けるインスタ案件の報酬は、多くの場合この業務に係る雑所得になります。
一方で、発信を仕事の中心にして、継続的に大きな収入を得ている場合は、事業所得になることがあります。事業所得なら、開業の届出や青色申告による控除などを使える一方、帳簿をつける手間も増えます。どちらにあたるかは、収入の規模や継続性、帳簿の有無などで判断されるため、迷うときは税務署に相談しましょう。
会社員の「20万円ルール」と、その条件
国税庁のタックスアンサー No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人によると、給与を1か所から受けていて、給与所得と退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人は、確定申告をしなければなりません。つまり、会社員で副業の所得が年間20万円以下なら、原則として所得税の確定申告はいりません。
ここで大切なのは、20万円が「収入」ではなく「所得」の金額だという点です。所得は、収入から経費を引いた金額です。たとえば案件の報酬が年間30万円でも、撮影の材料費などの経費が12万円かかっていれば、所得は18万円になります。反対に、経費の記録がなければ、収入がそのまま所得として扱われます。
20万円以下でも申告が必要になるケース
副業の所得が20万円以下でも、医療費控除やふるさと納税の寄附金控除などのために自分で確定申告をする場合は、副業の所得も含めて申告する必要があります。「20万円以下なら書かなくていい」のは、ほかの理由で確定申告をしないときだけです。
また、20万円ルールは所得税の話で、住民税にはこのルールがありません。所得税の確定申告をしない場合でも、副業の所得があれば、お住まいの市区町村に住民税の申告をする必要があります。申告の方法は市区町村によって違うので、各自治体の案内を確認しましょう。
会社員以外(専業の発信者・主婦など)の場合
会社に勤めていない場合は、会社員の20万円ルールはあてはまりません。その年の所得の合計が、基礎控除などの所得控除の合計を超える場合は、確定申告が必要になります。家族の扶養に入っている場合は、自分の所得が増えると、扶養から外れたり、家族の税金や社会保険に影響したりすることもあります。
所得の目安は、制度の改正で変わることがあります。収入が増えてきたら、その年の国税庁の案内や、勤め先・家族の勤め先の扶養の条件を確認しておくと安心です。
| 立場 | 所得税の確定申告 | 住民税 |
|---|---|---|
| 会社員で副業の所得が20万円以下 | 原則不要(ほかの理由で申告するなら含める) | 市区町村への申告が必要 |
| 会社員で副業の所得が20万円超 | 必要 | 確定申告をすれば別の申告は不要 |
| 会社員以外 | 所得の合計が所得控除の合計を超えれば必要 | 確定申告をすれば別の申告は不要 |
副業の確定申告がわかる入門書
副業の収入の考え方から、経費の整理、確定申告書の書き方まで、図解で学べる入門書。初めてインスタ案件の収入を申告するときに、全体の流れをつかむのに役立ちます。
商品提供・経費・記録のしかたと、申告の進め方
ここからは、インスタ案件ならではの「商品提供」の扱いや、経費にできるもの、記録の残し方、申告の進め方を解説します。日ごろから準備しておくと、申告の時期に慌てずに済みます。
商品の提供(ギフティング)も収入になる?
報酬はなく、商品の提供だけを受ける案件もあります。所得税法では、収入として計上する金額には、金銭だけでなく、物や権利その他の経済的な利益も含まれるとされています。投稿をする約束で受け取った商品は、原則としてその価額を収入として考えることになります。
金額は、受け取ったときの商品の価額が目安になります。企業から商品の価格が示されている場合はその金額を、示されていない場合は販売価格などを、受け取った日とあわせて記録しておきましょう。扱いに迷うときは、受け取った商品の一覧を持って税務署に相談すると確実です。
経費にできるものの例
経費にできるのは、案件や発信の仕事のために使った費用です。たとえば、レシピ投稿のための食材や材料費、撮影用のライトや背景シート、写真の編集アプリの利用料、仕事の打ち合わせのための交通費などが考えられます。
スマホの通信費や家賃のように、仕事と私用の両方に使っているものは、仕事に使った割合だけを経費にする「按分」という考え方をします。割合は、使った時間などをもとに、自分で説明できる根拠を持って決めておきましょう。私用と区別できないものや、根拠を説明できないものは、経費として認められないことがあります。
記録と領収書の残し方
申告のときに困らないように、案件ごとに「日付・企業名・内容・報酬の金額・入金日」を記録しておきましょう。経費は、領収書やレシートを保存し、何のために使ったかをメモしておくと、あとから整理しやすくなります。
国税庁の雑所得の案内では、前々年の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える人は、請求書や領収書などの書類を保存する必要があるとされています。金額がそこまで大きくなくても、同じように保存しておくと、申告の根拠になって安心です。表計算ソフトや家計簿アプリで、案件と経費を月ごとにまとめておくのがおすすめです。
確定申告の進め方(確定申告書等作成コーナー)
確定申告は、原則として、収入があった年の翌年2月16日から3月15日までに行います。国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、画面の案内に沿って金額を入力すると、確定申告書を作成できます。マイナンバーカードがあれば、e-Taxでそのまま提出することもできます。
確定申告書には、住民税の徴収方法を選ぶ欄があります。副業の所得にかかる住民税を自分で納める「自分で納付(普通徴収)」を選べるかどうかは、自治体によって扱いが違うため、気になる場合は市区町村に確認しておきましょう。
インボイス制度と企業からの確認
企業と取引をすると、「適格請求書発行事業者(インボイス)の登録番号はありますか?」と聞かれることがあります。インボイス制度は消費税の仕組みで、登録すると消費税の申告と納税が必要になります。登録するかどうかは任意で、登録していなくても取引はできます。
ただし、企業によっては、登録していない場合に報酬の条件を相談されることもあります。制度の内容は、国税庁のインボイス制度の特設サイトで確認し、自分の収入の規模と照らし合わせて判断しましょう。
報酬の条件を決めるときに、税金の分も考える
報酬の金額を決めるときは、受け取ったあとに税金がかかることも考えておきましょう。手元に残るのは、報酬から経費と税金を引いた金額です。商品提供だけの案件でも収入として扱われるため、作業の負担と税金の手間に見合うかを考えて引き受けることが大切です。
報酬や条件は、メールなどの文字で確認しておくと、申告のときの記録にもなります。条件の確認のしかたは、次の記事で解説しています。

案件の投稿にはPR表記が必要です。表示のルールは、次の記事で解説しています。

Instagramのギフトやサブスク、noteの有料記事など、ほかの収入も同じように申告の対象になります。収益化の方法は、次の記事でまとめています。

インスタ案件の報酬の決め方は、noteでも紹介しています。

インスタ案件の税金の準備チェックリスト
- ☑ 案件ごとに、日付・企業名・報酬・入金日を記録している
- ☑ 提供された商品の価額と受け取った日を記録している
- ☑ 経費の領収書と、何に使ったかのメモを保存している
- ☑ 副業の所得(収入-経費)が20万円を超えるか確認した
- ☑ 医療費控除やふるさと納税で申告するかどうかを確認した
- ☑ 住民税の申告が必要かどうかを確認した
- ☑ インボイスの登録をどうするか考えた
領収書やレシートを月ごとに整理できる収納ファイル
月ごとのポケットに領収書やレシートを分けて入れられる収納ファイル。経費の記録をまとめておくと、確定申告の時期に整理する手間を減らせます。
よくある質問
インスタ案件の確定申告について、よく聞かれる疑問にお答えします。
副業の所得が20万円以下なら、何もしなくていいですか?
所得税の確定申告は原則不要ですが、住民税の申告は市区町村に必要です。医療費控除などで確定申告をする場合は、副業の所得も含めて申告します。
商品の提供だけで、報酬がない案件も申告が必要ですか?
投稿の約束で受け取った商品は、原則としてその価額が収入になります。ほかの副業の所得と合わせて、申告が必要かどうかを判断しましょう。
確定申告をすると、会社に副業がばれますか?
副業の所得が増えると住民税の額が変わるため、会社に気づかれることがあります。住民税の徴収方法は確定申告書で選べますが、扱いは自治体によって違うため、市区町村に確認しましょう。
スマホの代金や通信費は経費になりますか?
仕事と私用の両方に使っている場合は、仕事に使った割合だけを経費にできます。割合の根拠を説明できるようにしておきましょう。
申告を忘れていた場合はどうすればいいですか?
気づいた時点で、できるだけ早く申告しましょう。期限を過ぎると、加算税や延滞税がかかることがあります。分からないことは、税務署の相談窓口に問い合わせてください。
まとめ|記録を残して、20万円ルールの条件を正しく確認しよう
インスタ案件の報酬は、会社員の副業なら多くの場合「業務に係る雑所得」になります。給与を1か所から受けている会社員は、副業の所得(収入-経費)が年間20万円を超えると確定申告が必要です。20万円以下でも、ほかの理由で申告するときは含めて申告し、住民税の申告は別に行います。
商品の提供も原則として収入になり、案件のために使った費用は経費にできます。案件と経費の記録、領収書を日ごろから残し、確定申告書等作成コーナーで申告を進めましょう。インボイスの登録は任意なので、収入の規模と照らし合わせて判断してください。
まずは今日から、案件ごとの報酬と、提供された商品、使った経費を記録する表を作るところから始めてみてください。
この記事を書いた人
くらしノート編集部。Instagramで見つけた暮らしのアイデアを、noteとこのブログで記事にまとめています。この記事は国税庁の案内をもとに一般的な考え方をまとめたもので、個別の判断は税務署や税理士への確認をおすすめしています。




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